ボンディア
しろ孔雀と尼僧院
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作成日時 : 2008/05/03 17:21
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(258)42歳のことだったろうか、女房と二人の娘が「何故ポルトガルに行くの?このまましばらくギリシャで遊んで帰ったら」と口をそろえて、上目遣いに不信を鳴らした。しかもそれはアテネからリスボンに向かう機内でだ、出発前にファドへの思い入れをあれほど説明したはずなのに・・・・・・・・。
ともかく初めてポルトガルに着いたのは、ヨーロッパの片田舎に降り立つのだから今も変わらないが、真夜中だった。出迎えもない、ギリシャの友達が予約したホテル名を書いた紙切れ頼りに、吹っ飛ばすタクシーで30分。真っ暗闇の道端に放り出され、金を払い、間口半間のドアを叩くと、ご老人が出迎えてくれた。
緋色の絨毯と壁に囲まれた居間らしき部屋から、さらに怪しい絵画に飾られた階段をきしませ部屋に転がり込む。磨きこんだ古色騒然たるバスタブには、金色の蛇口、シャワーの口も金だ。ともかく何でもいいから、スプリングがいやに跳ねるベッドにどさっと身を投げる。隣の娘二人が怖がって部屋にもぐりこんできた。
これが「ヨークハウス」の別館「ヘリテッジ」の最初の一夜だった。
尼僧院を改装してホテルにしたのが「ヘリテッジ」とは、翌日中庭の朝食でようやく理解し、部屋も庭も建物全てが実に味わい深いことをおいおい分かりだした。本館は道隔てて50メートルほど離れていて、本館もまた小さな中庭を囲み、外からは1間のドアしか見当たらない見事な隠れ屋だ。これぞ20数年前のホテルとドアマンに声をかけたら、「なか入っていいよ、何ならランチ食べていけば」と入口の秘密めいた空気とは一変した愛想よさ。
ゴルフの名手のご主人に、昔のこのホテルを探していると話したら、即座に「ヨーク・ハウス」じゃないかな答えた。正解だった、それなりに有名なのだろう。しかしこのホテルを予約したギリシャの友達も只者ではない。
同じ「発見の日」、サンジョルジュ城に久しぶりに登って強風に嫌気していたら、レストランの窓にしろ孔雀が2羽風を避けて縮こまっていた。
4人で初めてリスボンの赤い屋根に感動したとき、いきなり真っ白な孔雀が2羽、大きく羽を広げて舞い出した。娘たちは驚きながらも、孔雀の見事な演舞に言葉もなく大きな口と目で感動を現して飽きることがなかった。あのときの孔雀だろうか、彼らはそんなに長寿だろうか。彼らは元気そうだった。
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